ちゃぷん
赤やピンクの薔薇が浮いたお風呂は、温くもなく熱くもなく丁度いい温度でとても気持ちがいい。
「湯加減はどうかしら?」
『とってもいいです』
バスタオルを一枚巻いて、後から女王様もお風呂に入ってきた。
幼いながらも割とスタイルがいい。
「素敵でしょ?このお風呂。あたし、薔薇が一番好きなのよ」
『私もです。青い薔薇が、一番好き』
「あたしは無難に赤が好きよ」
女王様は大人っぽくうふふと笑って、近くにあった赤い薔薇を手ですくった。
「赤い薔薇の花言葉は愛情や情熱。それ以外にも花言葉ってあるのよね」
——束縛とか、嫉妬とか。
花びらを一枚ちぎってお湯に浮かべる。
『えぇ。確か青い薔薇は奇跡、神の祝福、夢が叶う、不可能。何故か、引かれてしまうんです』
私もまねしてピンク色の薔薇を手で波を作って引き寄せた。
全部の花びらをちぎって、顔半分を沈めるようにぶくぶくとお湯に付けた。
千切られた歪な形の花びらが、泡に巻き込まれて女王様の方に流れていく。
「あがりましょう。のぼせてきたわ」


