『ワンダーランド?』
聞かない名前。
本当にここは別世界、みたいだね。
よく見ると、さっきまで私が座っていた近くに私の世界にはない様な植物が生えていた。
なんか、神秘的。
「・・・・・・・・・・・・あっ」
別世界とやらについて深々と考えていると、首にかけた懐中時計をみて顔を青白くさせた白兎がいた。
あのキラキラしたものは懐中時計だったんだ、と納得していると、いきなり白兎に腕を掴まれる。
『ど、どうしたの?』
「一緒に怒られてください」
『はぁ?』
なんで敬語?とか思っていると、掴まれている腕から白兎の震えが伝わってくる。
一体なににそんなに震えているんだろう?
『遅刻。遅刻だ。もう時計は3時を過ぎている。女王様に首をはねられてしまう!』
「女王様?」
『あああどうしよう!導くモノが遅刻だなんて、斬首刑は逃れられない!』
すごい取り乱し様。
そんなに女王様って怖いのかな?
金色の時計を見て、汗を滝のように流しながらあわあわとしている。
時計の針は既に3時10分を指していた。


