なんて皮肉な人がいたものか。



生きたいと願う者を殺害し、死にたいと請う者を生かし、両者に逆らって楽しんで、遊んで、満足している。




「優しいんだな、お前は」



優しいんじゃない、意気地無しで何もできないだけ。


君の方が百倍優しいくせに、それを無理矢理に外道だなんて言い繕って、いつも悪役を演じたがるこの人は相当に娯楽に餓えている。


範疇を越えるくらい。


それ自体に自らを求め、ありもしない意義を造り上げている。


『そのために生きている』と――…。



でも綻びはある。



『わたし』を生かそうとするその鎌のような言葉が、まだ君にある正義を裏付けて、嗚呼、やっぱりあなたも人間なんだ。



「わたしは優しくはない」


「人の死に泣ける子は優しいとは言わないのか」


「これはこいつに流す涙じゃない」




あなたへの嫌悪の結果。


残酷な君への感謝の塊。



結局、駒<わたし>は騎手<きみ>から逃れられない。