自らが犯した罪を償う覚悟がなかった。


ただ晴らしたい怨みばかりが爆発して、たかが一瞬我を失ったが故の現在に至り、こうしてどうしようもなく泣きじゃくっている。


なんて浅はか。


なんて軽率。


なんて、愚かしいんだろう。



これ以上生きる度胸がないから、どうか、死すことを許してはいただけないだろうか。



「償いは監獄の中でなくても可能だと思っている」


彼は言った。


「人が作った監獄なんて所詮、短期間閉じ込めるだけの箱だ。

結局俺たちがやっているように拘束するだなんて不可能、箱の中で何を考えようとそれは強制されうるものではない。

必ずしも監獄に入ることが償いじゃない。

お前がまさに抱いているその、心からの後悔と罪悪感、その後の世間に適した更正こそが償いに求める一般的な結果じゃないのか。

――…だから、どうだ、我が羽の下で贖罪をしないか」






生きてもいいという。


生きろという。




「名前を変えてまで俺のところにきた君を手放したくない、実に優秀な記録者だと思っている」



「わたしに生きる価値はありますか」


「無い者は生まれることすらない」