「俺は働かんでもええほど裕福な家庭で育ってるんや。自由にして何が悪いねん。ちゃんと大学も出たし、妹らの面倒だって見てるわ」
「親のスネかじっといて偉そうなこと言うなっつってんの」
「僻むなや。貧乏人」
「何だと!このクソガキ!」
「俺には僻みにしか聞こえんな。心に余裕が無いんちゃうか、オッサン!」
あーあ、キレた。グッと悠真の胸倉を掴み上げたメーシーを見ながら、兄も弟ため息を吐く。何のケンカだ…と、じっと黙って事態を見守っていた吉村も思う。
「大人の事情がわからないガキは黙って寝てろ!」
「ちーちゃんがあの状態なったら何の手出しも出来んかったくせによぉ言うわ。黙るんはオッサンの方やろが!」
「そうやって喚くしか出来ねーんだろ?頭使えよ、ガキ!」
「オッサンかて一緒やろ!」
まるで子供のケンカだ。呆れた四人はコクリと同時に頷き、そして大きく息を吸い込んだ。
「ええ加減にせんか!」
言うまでもなく、一番響いたのは吉村の声で。他の三人も同時に声を出したものの、やはり本職の迫力には敵わなかった。
「もうやめんか」
「だってにーちゃん!」
「もうわかったから。俺が悪かったから」
「何だよ王子。こんなガキ相手に」
「メーシーも。もうええから」
当事者にそう言われてしまえば、引かないわけにはいかない。まだまだ言い足りない言葉をグッと呑み込み、二人は互いを睨み付けたまま口を閉ざした。
「吉村さん」
「あぁ…はい」
ソファから下り、晴人は吉村と向き合う。勿論正座で、ピンと背筋を伸ばして。
「俺は…俺は、こんな仕事してるから、千彩に寂しい思いをさせます」
「それは…」
「それでも…それでも、もっとゆっくり、ちゃんと千彩と向き合えるように努力します」
「はい」
「泣かせるかもしれません。もう俺なんか嫌やって言うて、そっちに帰るかもしれません」
「ハルさん…」
「もしそうなった時は…叱らんと迎えてやってください。すぐ迎えに行って、俺がその分叱られますんで。何回でも迎えに行きますんで」
「じゃあ…」
仲間達が見守る中、晴人は両手をついて頭を下げた。
あぁ…こんなこと、絶対にしなかったのに。少なくとも、一年前までは。
そんなことを思いながら。
「親のスネかじっといて偉そうなこと言うなっつってんの」
「僻むなや。貧乏人」
「何だと!このクソガキ!」
「俺には僻みにしか聞こえんな。心に余裕が無いんちゃうか、オッサン!」
あーあ、キレた。グッと悠真の胸倉を掴み上げたメーシーを見ながら、兄も弟ため息を吐く。何のケンカだ…と、じっと黙って事態を見守っていた吉村も思う。
「大人の事情がわからないガキは黙って寝てろ!」
「ちーちゃんがあの状態なったら何の手出しも出来んかったくせによぉ言うわ。黙るんはオッサンの方やろが!」
「そうやって喚くしか出来ねーんだろ?頭使えよ、ガキ!」
「オッサンかて一緒やろ!」
まるで子供のケンカだ。呆れた四人はコクリと同時に頷き、そして大きく息を吸い込んだ。
「ええ加減にせんか!」
言うまでもなく、一番響いたのは吉村の声で。他の三人も同時に声を出したものの、やはり本職の迫力には敵わなかった。
「もうやめんか」
「だってにーちゃん!」
「もうわかったから。俺が悪かったから」
「何だよ王子。こんなガキ相手に」
「メーシーも。もうええから」
当事者にそう言われてしまえば、引かないわけにはいかない。まだまだ言い足りない言葉をグッと呑み込み、二人は互いを睨み付けたまま口を閉ざした。
「吉村さん」
「あぁ…はい」
ソファから下り、晴人は吉村と向き合う。勿論正座で、ピンと背筋を伸ばして。
「俺は…俺は、こんな仕事してるから、千彩に寂しい思いをさせます」
「それは…」
「それでも…それでも、もっとゆっくり、ちゃんと千彩と向き合えるように努力します」
「はい」
「泣かせるかもしれません。もう俺なんか嫌やって言うて、そっちに帰るかもしれません」
「ハルさん…」
「もしそうなった時は…叱らんと迎えてやってください。すぐ迎えに行って、俺がその分叱られますんで。何回でも迎えに行きますんで」
「じゃあ…」
仲間達が見守る中、晴人は両手をついて頭を下げた。
あぁ…こんなこと、絶対にしなかったのに。少なくとも、一年前までは。
そんなことを思いながら。

