Secret Lover's Night 【連載版】

「ちーちゃん連れて帰ってどうすんねん。前がちーちゃんと結婚するんか?今度はお前がレイちゃん泣かす気か?」
「いや…玲子のことは今関係無いやろ」
「関係あるやろ。どの口がそんなん言うねん。やっと普通に会うてもらえるようになったのに。そんなん聞いたらレイちゃんキレんで。ダボかー!ってしばかれんぞ」

え?玲子?と顔を見合わす晴人と恵介に、悠真は遠慮せず矛先を向ける。

「にーちゃん。幸せにしてやれんって何?何でちーちゃんの幸せをにーちゃんが決めるん?にーちゃんいつからそんな偉なったん?神様にでもなったつもりなん?せやったらさすがに引くわ」
「いや、そんなつもりは…」
「ちーちゃんの幸せはちーちゃんが決めるんやで。それを理由にするんはカッコ悪いわ。それやったらハッキリ言うたらええねん。俺じゃ無理やって。こんな何も出来んガキより、もっと大人で何でも出来る女がええって」
「そんなん思うてへん」
「せやったら、ちーちゃんの気持ち無視したりなや。好きなんやから、にーちゃんのこと。嫌われたくなくて…にーちゃんに好きでおってほしくて、大嫌いな片付けも留守番も必死で頑張ってんねやから」

言ってやった。そう胸を張る悠真。普段ならば、これで兄弟ゲンカは治まる。

けれど、今回ばかりはそうはいかないらしかった。


「黙ってろよ、ガキ」


満足げな悠真を少し高い位置から見下ろし、メーシーは吐き捨てるように言った。あーもうっ。だから言ったのに。と、恵介はとうとう頭を抱えた。

「好きとか嫌いとか、それで世の中回ってるとでも思ってんのか?それで丸く収まるとでも思ってんのか?世に中そんなに平和じゃねーんだよ。そもそも、誰に向かって言ってんだっつーの。職にも就いてねぇガキが偉そうに意見してんじゃねーよ。俺達を誰だと思ってんだ」

メーシー様だ。まるでそう言わんばかりの物言いに、悠真がグッと表情を歪める。

ここは負けられない。

グッと拳を握り、その整った顔を見据えた。