「…帰るわ」
「俺達はどうすんのさ」
「メーシーは俺らと一緒やなくてもなんぼでも仕事あるやん」
「アタシはイヤよ!ハルじゃなきゃ撮らせないんだから!」
「お前かてじき引退やろが」
恵介に代わって割って入って来たマリは、今にも泣きそうで。しっかりとメーシーの腕を掴み「何とかしろ!」と言わんばかりに目で訴えているものだから、嫁バカのメーシーがそれに首を横に振るはずがない。
「じゃあ、俺達もそっちへ行くよ」
「は?」
「うちの親はもう両方とも亡くなってるし、麻理子の親だってNYだ。縛られるものなんて、俺達には無いからね」
「いや、でも…」
関西に戻ってしまえば、仕事が激減する。それは誰の目から見ても明らかで。今までの半分…とまではいかないけれど、生活水準を落とさなければならないことは必至だ。
「マリには無理や」
それを考えた結果、出た言葉がそれで。けれど、晴人が何を考えているかなど読もうともしないマリは、自分だけを拒否された気がしてとうとう大粒の涙を零し始めた。
「あっ…泣かせたね」
「いや、だって。こないワガママな女連れて無理やん。仕事減るんやで?給料減るんやで?家だって狭なるし、自由に金なんか使えんようなるんやで?無理やん」
「アタシを誰だと思ってるのよ!社長令嬢よ!お金なんていくらだってあるんだから!」
「いやいや。お前の家がどうとかそんなんちゃうやん。これから子供も生まれんのに、知らん土地で子育てとか無理やろ?」
「どこだって一緒よ!どこだって知らないわ!アタシが一人で日本に残ったのも、めいじがいたからだもの。バラバラになるなんてイヤ!アタシだって一緒に行くわ!」
わんわんと泣き始めたマリを前に、晴人にはもう紡ぐ言葉が無くて。どうしようか…と思案する晴人に、よしよしとマリの背中を擦りながらメーシーが言った。
「君だけの問題じゃないってこと」
「まぁ…」
「そうゆう仕事なんだよ、君の仕事は」
それでも!と強引に事を進めてしまうことは出来る。大人なのだ。いくらだって道はある。けれど、バラバラになるのは嫌だと訴えるマリの手を払い除けるほど、非情にはなりきれなくて。
千彩と出会う前の自分ならば、何の躊躇いも無くそうしていたのに。と、そっと手を伸ばしてマリの頭を撫でながら晴人は思った。
「俺達はどうすんのさ」
「メーシーは俺らと一緒やなくてもなんぼでも仕事あるやん」
「アタシはイヤよ!ハルじゃなきゃ撮らせないんだから!」
「お前かてじき引退やろが」
恵介に代わって割って入って来たマリは、今にも泣きそうで。しっかりとメーシーの腕を掴み「何とかしろ!」と言わんばかりに目で訴えているものだから、嫁バカのメーシーがそれに首を横に振るはずがない。
「じゃあ、俺達もそっちへ行くよ」
「は?」
「うちの親はもう両方とも亡くなってるし、麻理子の親だってNYだ。縛られるものなんて、俺達には無いからね」
「いや、でも…」
関西に戻ってしまえば、仕事が激減する。それは誰の目から見ても明らかで。今までの半分…とまではいかないけれど、生活水準を落とさなければならないことは必至だ。
「マリには無理や」
それを考えた結果、出た言葉がそれで。けれど、晴人が何を考えているかなど読もうともしないマリは、自分だけを拒否された気がしてとうとう大粒の涙を零し始めた。
「あっ…泣かせたね」
「いや、だって。こないワガママな女連れて無理やん。仕事減るんやで?給料減るんやで?家だって狭なるし、自由に金なんか使えんようなるんやで?無理やん」
「アタシを誰だと思ってるのよ!社長令嬢よ!お金なんていくらだってあるんだから!」
「いやいや。お前の家がどうとかそんなんちゃうやん。これから子供も生まれんのに、知らん土地で子育てとか無理やろ?」
「どこだって一緒よ!どこだって知らないわ!アタシが一人で日本に残ったのも、めいじがいたからだもの。バラバラになるなんてイヤ!アタシだって一緒に行くわ!」
わんわんと泣き始めたマリを前に、晴人にはもう紡ぐ言葉が無くて。どうしようか…と思案する晴人に、よしよしとマリの背中を擦りながらメーシーが言った。
「君だけの問題じゃないってこと」
「まぁ…」
「そうゆう仕事なんだよ、君の仕事は」
それでも!と強引に事を進めてしまうことは出来る。大人なのだ。いくらだって道はある。けれど、バラバラになるのは嫌だと訴えるマリの手を払い除けるほど、非情にはなりきれなくて。
千彩と出会う前の自分ならば、何の躊躇いも無くそうしていたのに。と、そっと手を伸ばしてマリの頭を撫でながら晴人は思った。

