「こんな寝方さしたら風邪引くやろが。おい、千彩。おい」
「あぁ、俺が運ぶわ」
「ええから。おい、千彩」
「んー…」
「メシ食うとこで寝るなって何回言うたらわかんねん」
「んー…ごめんなさい」
「寝るんやったら和室行け」
「んー…」
ペシンと頭を叩かれ、千彩は渋々立ちあがってよろよろと和室へと向かって行った。その後ろ姿にふぅっと大きく息を吐き、智人は不機嫌そうな顔で晴人を見下ろす。
「お前…ちょっとキツイんちゃうか」
「お兄はアイツに甘過ぎるんや」
「黙って運んでやったらええやないか」
「自分で何でも出来るようにしとかな、後々困るんはお兄やろ」
「せやけど…」
「結婚して子供が出来てからでは手遅れなんやぞ」
そうは言っても…と、千彩を可愛がりたい意識の強い晴人は反論しようとする。それに待ったをかけたのが、黙って兄弟のやり取りを聞いていた吉村だった。
「トモさんの言う通りですわ」
「吉村さんまで…」
「甘やかし過ぎはよぉありません。せやないと、立派な母親にはなれませんからね」
「ほら、みてみぃ。あいつの父親がこう言うとるんやからな。慎め」
「くそっ…」
まだ子供どころか結婚もしていないというのに…と、晴人は言い負かされた悔しさを噛みしめる。
「ええか?お兄。アイツは今成長しようとしとるんや。邪魔すんなよ」
「はいはい。ともとさんの言う通りにしますよ」
「ともと言うな!」
やはり、千彩以外にそう呼ばれるのは癪に障るというもので。ギッと晴人を睨み付けると、智人はチラリと時計を見上げて視線を戻した。
「吉村さん、ええんですか?あんな時間ですけど」
「え?あっ!すんません、俺もう行きますわ」
「あぁ、ええですよ。俺が片付けときます」
「すんません!ほな」
慌てて食器を片付けようとする吉村を止め、智人は母のエプロンを着けた。
「すんません。いってきます」
「いってらっしゃーい」
「ほなハルさん、また」
「はい。お気をつけて」
「あっ、吉村さん。今日の診察の結果が良かったら、来週そっちに戻しますんで」
「わかりました!楽しみにしときます!」
慌てて出て行く吉村を見送り、晴人と智人は玄関で同時にため息を吐いた。
「大丈夫なんか?戻して」
「いつまでもおらすわけにはいかんやろ」
「ちぃは…」
「成長過程なんや。寂しさに耐えるんも必要や」
そう言われてしまうと、晴人には返す言葉が無い。グッと唇を噛み、さっさとキッチンへ入る智人の後を追った。
「あぁ、俺が運ぶわ」
「ええから。おい、千彩」
「んー…」
「メシ食うとこで寝るなって何回言うたらわかんねん」
「んー…ごめんなさい」
「寝るんやったら和室行け」
「んー…」
ペシンと頭を叩かれ、千彩は渋々立ちあがってよろよろと和室へと向かって行った。その後ろ姿にふぅっと大きく息を吐き、智人は不機嫌そうな顔で晴人を見下ろす。
「お前…ちょっとキツイんちゃうか」
「お兄はアイツに甘過ぎるんや」
「黙って運んでやったらええやないか」
「自分で何でも出来るようにしとかな、後々困るんはお兄やろ」
「せやけど…」
「結婚して子供が出来てからでは手遅れなんやぞ」
そうは言っても…と、千彩を可愛がりたい意識の強い晴人は反論しようとする。それに待ったをかけたのが、黙って兄弟のやり取りを聞いていた吉村だった。
「トモさんの言う通りですわ」
「吉村さんまで…」
「甘やかし過ぎはよぉありません。せやないと、立派な母親にはなれませんからね」
「ほら、みてみぃ。あいつの父親がこう言うとるんやからな。慎め」
「くそっ…」
まだ子供どころか結婚もしていないというのに…と、晴人は言い負かされた悔しさを噛みしめる。
「ええか?お兄。アイツは今成長しようとしとるんや。邪魔すんなよ」
「はいはい。ともとさんの言う通りにしますよ」
「ともと言うな!」
やはり、千彩以外にそう呼ばれるのは癪に障るというもので。ギッと晴人を睨み付けると、智人はチラリと時計を見上げて視線を戻した。
「吉村さん、ええんですか?あんな時間ですけど」
「え?あっ!すんません、俺もう行きますわ」
「あぁ、ええですよ。俺が片付けときます」
「すんません!ほな」
慌てて食器を片付けようとする吉村を止め、智人は母のエプロンを着けた。
「すんません。いってきます」
「いってらっしゃーい」
「ほなハルさん、また」
「はい。お気をつけて」
「あっ、吉村さん。今日の診察の結果が良かったら、来週そっちに戻しますんで」
「わかりました!楽しみにしときます!」
慌てて出て行く吉村を見送り、晴人と智人は玄関で同時にため息を吐いた。
「大丈夫なんか?戻して」
「いつまでもおらすわけにはいかんやろ」
「ちぃは…」
「成長過程なんや。寂しさに耐えるんも必要や」
そう言われてしまうと、晴人には返す言葉が無い。グッと唇を噛み、さっさとキッチンへ入る智人の後を追った。

