「さっき洗面所でね、ちー坊に「育ててくれてありがとう」って言われたんですわ」
「え?急にですか?」
「はい。何を思うたんかわからんのですけどね。自分にはパパはおらんけど、欲しないって。俺のことパパや言うてくれたんですわ」
「それは…嬉しいですね」
自分の娘だと言い、千彩の載った雑誌の切り抜きを手に事務所へと訪ねて来た吉村。その時のやり取りを思い出し、晴人はじんわりと込み上げる温かさを胸に抱いた。
「美奈と…こいつの母親と約束したんですわ。俺がこいつを一生守っていくって。その頃は、こうやってええ人が現れてちー坊のこと愛してくれるやなんて思ってもみませんでしたからね。こいつには俺しかおらん思うて生きてきました」
「俺も…約束したんです、千彩と。俺が守ったるからって。一緒に幸せ守っていこうって」
「ええ約束ですね、それ」
「初めは…」
言いかけて、晴人は言葉を切る。言って良いものかどうか。これを言うことで、自分の思いは揺らがないだろうか。そう考え、うん…と小さく頷いて言葉を続けた。
「初めは多分、吉村さんの代わりやったと思うんです、俺」
「そんなこと…!」
「いや、そうやったと思うんです。でも、それでも俺はええと思ってました」
「ハルさん…」
「どうにか千彩に笑っててほしくて、詳しいことは聞かんと一緒に暮らしてました。美奈さんのことも、吉村さんのことも。俺がもっとちゃんと千彩の心に向き合ってたら、こんな風になってなかったんかもしれません。すいませんでした」
「いやっ、ハルさんのせいとちゃいます。親の俺がしっかりしてなかったからですわ。俺がわかってやらなあかんかったのに。可哀相なことしました、こいつには」
「何湿っぽい話してんねん、朝から」
ずんと重い空気を背負った二人に声を掛けたのは、いつの間にかベッドに潜り込んできていた悠真に蹴落とされて目を覚ました智人だった。
「え?急にですか?」
「はい。何を思うたんかわからんのですけどね。自分にはパパはおらんけど、欲しないって。俺のことパパや言うてくれたんですわ」
「それは…嬉しいですね」
自分の娘だと言い、千彩の載った雑誌の切り抜きを手に事務所へと訪ねて来た吉村。その時のやり取りを思い出し、晴人はじんわりと込み上げる温かさを胸に抱いた。
「美奈と…こいつの母親と約束したんですわ。俺がこいつを一生守っていくって。その頃は、こうやってええ人が現れてちー坊のこと愛してくれるやなんて思ってもみませんでしたからね。こいつには俺しかおらん思うて生きてきました」
「俺も…約束したんです、千彩と。俺が守ったるからって。一緒に幸せ守っていこうって」
「ええ約束ですね、それ」
「初めは…」
言いかけて、晴人は言葉を切る。言って良いものかどうか。これを言うことで、自分の思いは揺らがないだろうか。そう考え、うん…と小さく頷いて言葉を続けた。
「初めは多分、吉村さんの代わりやったと思うんです、俺」
「そんなこと…!」
「いや、そうやったと思うんです。でも、それでも俺はええと思ってました」
「ハルさん…」
「どうにか千彩に笑っててほしくて、詳しいことは聞かんと一緒に暮らしてました。美奈さんのことも、吉村さんのことも。俺がもっとちゃんと千彩の心に向き合ってたら、こんな風になってなかったんかもしれません。すいませんでした」
「いやっ、ハルさんのせいとちゃいます。親の俺がしっかりしてなかったからですわ。俺がわかってやらなあかんかったのに。可哀相なことしました、こいつには」
「何湿っぽい話してんねん、朝から」
ずんと重い空気を背負った二人に声を掛けたのは、いつの間にかベッドに潜り込んできていた悠真に蹴落とされて目を覚ました智人だった。

