「はると初めて会った時ね、ちさ、おにーさまに捨てられたと思っててん」
「誰がそんなことするか」
「うん。迎えに来てくれるって信じてたよ」
守ってやると言ってくれた晴人が、千彩にはいつでもそう言ってくれていた吉村の姿と重なって見えて。この人が好きだ。と、そう素直に思うことができた。
「ちさにはパパいないでしょ?でもちさ、欲しいと思わないよ」
「ちー坊…」
「おにーさまがちさのパパ。だからね、育ててくれてありがとう、パパ」
その言葉に、吉村の目から堪えていた涙が零れて頬を伝った。
千彩と出会って約8年。何も喋らず寒さに震えていた少女が、こんなにも成長した。色んなことを覚え、沢山の言葉を喋り、笑ってくれる。色んな人に愛され、恋をして、自分を「パパ」だと言ってくれた。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
止まらない涙を手の甲で拭いながら、吉村は何度も「ありがとう」と呟いた。
「ともとがね、教えてくれた。ママは、ちさがはると幸せになれるようにちさを連れて行かなかったんや、って」
「そっか…せやな」
「帰ったらね、ママのお墓行こうね。ありがとうって言わないと」
「せやな。一緒に行こか」
「うん」
こうして一つ一つ納得し、解決していく。それが一番早く元気になれる方法だと智人に教えられ、素直な千彩はこうして実践していく。その一つ一つが周りを温かく、柔らかくしていくのだけれど、本人はそんな効果があることはわかっていないのだ。
千彩の思いは一つ。
「ちさ、元気になってはると一緒に幸せ守るの」
ただ、晴人の傍にいたい。これから先もずっと。
その願いを叶えるために「今」を頑張っているだけで、相乗効果など本人は気にもしていない。
「お前はほんまに…ハルさんが好きやな」
「うん!ちさ、はるのこと大好き!」
「幸せになれよ、千彩」
「うん!おにーさまも一緒に幸せになろう!」
いい子に育ってくれた。不幸な生い立ちを卑下することもなく、何かを怨むこともなく。こうして真っ直ぐに前を向いて歩き、いつでも笑ってくれる。閉鎖的な社会で生きる吉村にとって、千彩は言わば光のような存在だった。
「誰がそんなことするか」
「うん。迎えに来てくれるって信じてたよ」
守ってやると言ってくれた晴人が、千彩にはいつでもそう言ってくれていた吉村の姿と重なって見えて。この人が好きだ。と、そう素直に思うことができた。
「ちさにはパパいないでしょ?でもちさ、欲しいと思わないよ」
「ちー坊…」
「おにーさまがちさのパパ。だからね、育ててくれてありがとう、パパ」
その言葉に、吉村の目から堪えていた涙が零れて頬を伝った。
千彩と出会って約8年。何も喋らず寒さに震えていた少女が、こんなにも成長した。色んなことを覚え、沢山の言葉を喋り、笑ってくれる。色んな人に愛され、恋をして、自分を「パパ」だと言ってくれた。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
止まらない涙を手の甲で拭いながら、吉村は何度も「ありがとう」と呟いた。
「ともとがね、教えてくれた。ママは、ちさがはると幸せになれるようにちさを連れて行かなかったんや、って」
「そっか…せやな」
「帰ったらね、ママのお墓行こうね。ありがとうって言わないと」
「せやな。一緒に行こか」
「うん」
こうして一つ一つ納得し、解決していく。それが一番早く元気になれる方法だと智人に教えられ、素直な千彩はこうして実践していく。その一つ一つが周りを温かく、柔らかくしていくのだけれど、本人はそんな効果があることはわかっていないのだ。
千彩の思いは一つ。
「ちさ、元気になってはると一緒に幸せ守るの」
ただ、晴人の傍にいたい。これから先もずっと。
その願いを叶えるために「今」を頑張っているだけで、相乗効果など本人は気にもしていない。
「お前はほんまに…ハルさんが好きやな」
「うん!ちさ、はるのこと大好き!」
「幸せになれよ、千彩」
「うん!おにーさまも一緒に幸せになろう!」
いい子に育ってくれた。不幸な生い立ちを卑下することもなく、何かを怨むこともなく。こうして真っ直ぐに前を向いて歩き、いつでも笑ってくれる。閉鎖的な社会で生きる吉村にとって、千彩は言わば光のような存在だった。

