翌朝千彩が目覚めると、眠る前までいたはずの晴人はそこにおらず、代わりに母が眠っていた。
んー…?と目を擦りながら考えてみるも、眠っている間のことなどわかるはずがない。諦めてそっと布団を抜け出し、パーカーを羽織ってリビングへと出た。
「あれ?こんなとこにいた」
ソファで眠る三人の姿に首を傾げ、千彩は晴人の顔を覗き込む。そして、ちゅっと頬にキスをして窓際へ行き、カーテンの隙間からまだ薄暗い空を見上げた。
「さむーい。お花がかわいそう」
窓際に立つと、ひやりと外気が流れ込んで来る。それでも日課の水やりをしようとパーカーの前を閉めてカーテンを開きかけ、千彩は「あっ…」と手を止める。
「お顔洗って、着替えてからだった」
毎日智人に口煩く言われていることを思い出し、くるりと向きを変えて洗面所を目指す。袖を捲り、ヘアバンドをつけて洗面台の前に立ち、千彩は一度ニッと笑顔を作って洗顔を始めた。そして、タオルで拭きながら顔を上げ、鏡に映った自分以外の人物の姿に「わっ!」と声を上げた。
「びっくりしたー!」
「おぉ。すまんかった。おはようさん、ちー坊」
「おはようさん、おにーさま」
吉村の口調を真似て挨拶を返すと、吉村は何だか寂しげな表情で千彩の頭を撫でた。
「おおきゅうなったな」
「ん?ちさ、大きくなった?」
「おぉ。覚えとるか?おにーさまと初めて会うた時は、まだこんなちっちゃかったんやぞ」
自分の膝辺りに手をやる吉村に「そんなちっちゃくなかったもん!」と言い返し、千彩はヘアバンドを取ってギュッと吉村に抱きついた。
「どないしたんや、急に」
「おにーさま、あのね」
「ん?」
「育ててくれてありがとう」
体を離してにっこりと笑う千彩の表情が、吉村には自分の愛した美奈の姿に重なって見えて。ギュッと強く千彩を抱きしめ、唇を噛んで涙を堪えた。
「何や、急にしおらしい」
「しお?」
「何でもあらへん」
幼い頃から、千彩は吉村のことが大好きだった。いつでも自分を愛してくれ、守ってくれる。そんな吉村だからこそ、千彩は信じて待っていた。
んー…?と目を擦りながら考えてみるも、眠っている間のことなどわかるはずがない。諦めてそっと布団を抜け出し、パーカーを羽織ってリビングへと出た。
「あれ?こんなとこにいた」
ソファで眠る三人の姿に首を傾げ、千彩は晴人の顔を覗き込む。そして、ちゅっと頬にキスをして窓際へ行き、カーテンの隙間からまだ薄暗い空を見上げた。
「さむーい。お花がかわいそう」
窓際に立つと、ひやりと外気が流れ込んで来る。それでも日課の水やりをしようとパーカーの前を閉めてカーテンを開きかけ、千彩は「あっ…」と手を止める。
「お顔洗って、着替えてからだった」
毎日智人に口煩く言われていることを思い出し、くるりと向きを変えて洗面所を目指す。袖を捲り、ヘアバンドをつけて洗面台の前に立ち、千彩は一度ニッと笑顔を作って洗顔を始めた。そして、タオルで拭きながら顔を上げ、鏡に映った自分以外の人物の姿に「わっ!」と声を上げた。
「びっくりしたー!」
「おぉ。すまんかった。おはようさん、ちー坊」
「おはようさん、おにーさま」
吉村の口調を真似て挨拶を返すと、吉村は何だか寂しげな表情で千彩の頭を撫でた。
「おおきゅうなったな」
「ん?ちさ、大きくなった?」
「おぉ。覚えとるか?おにーさまと初めて会うた時は、まだこんなちっちゃかったんやぞ」
自分の膝辺りに手をやる吉村に「そんなちっちゃくなかったもん!」と言い返し、千彩はヘアバンドを取ってギュッと吉村に抱きついた。
「どないしたんや、急に」
「おにーさま、あのね」
「ん?」
「育ててくれてありがとう」
体を離してにっこりと笑う千彩の表情が、吉村には自分の愛した美奈の姿に重なって見えて。ギュッと強く千彩を抱きしめ、唇を噛んで涙を堪えた。
「何や、急にしおらしい」
「しお?」
「何でもあらへん」
幼い頃から、千彩は吉村のことが大好きだった。いつでも自分を愛してくれ、守ってくれる。そんな吉村だからこそ、千彩は信じて待っていた。

