そんな生活が何週間か過ぎた頃。
次第に両親も呆れ、姉も呆れ、兄でさえも自分を探さなくなった。親友の悠真からの連絡も途絶えた。
これで独りになった。
肩の荷が降りたかのような解放感と、それ以上に襲ってくる孤独感。それに必死に耐えていた智人に手を差し伸べたのが、智人が昔から好意を寄せていた年上の幼なじみの玲子だった。
「家帰りたないんやったらうちおいでや。はるちゃんには黙っといたるから」
そう言って笑ってくれた玲子の腕の中で泣き、晴人に対する思いをぶちまけた。散々悪態をつき、声が枯れるまで泣いた智人に玲子は言った。
「うちは、ともちゃんの方が好きやな。ともちゃんの方が頑張ってるって感じするやん」
その言葉で、智人がどれだけ救われたか。その日から、智人は言われた通りに玲子の家に泊まった。
数日後、家に戻った智人に呆れた両親と姉は何も言わず、怒っていたのは兄だけだった。そんな兄に食ってかかってくれたのが玲子で。自分を背に置き、玲子は必死に晴人に抗議してくれた。
「はるちゃんは自分は何でもわかってると思っとるやろ」
「そんなこと思ってへんわ!」
「いいや!思っとる!せやからともちゃんを怒れるんや!」
「悪いんは智や!どんだけ心配かけたと思ってんねん!」
キャンキャンと言い争う二人を前に、智人はただただ涙を堪えて両親に頭を下げることしか出来なかった。
何とか両親の許しを得て家に戻った智人は、それからまた学校へ通い始めた。
悪い噂を消すことは出来ないし、教師からの信頼の回復も難しかったけれど、親友の悠真だけはいつもと変わらぬ態度で接してくれて。連絡をしてこなくなった理由も「独りになりたいんちゃうかと思って…」と、自分を思ってのことだったと知り、有難さに涙が出た。
成績は、変わらず上の中。
けれど、それを気にすることはなくなった。一度全てをふっ切り身軽になった智人は、兄がやったこともないようなことを懸命に探し、そしてギターに出会った。これだ!と、すぐさまそれにのめり込んだ。
それを喜んで応援してくれる玲子と、「一緒にやらせろ!」と共に歩んでくれる悠真。全てが順調に進むはずだった。
次第に両親も呆れ、姉も呆れ、兄でさえも自分を探さなくなった。親友の悠真からの連絡も途絶えた。
これで独りになった。
肩の荷が降りたかのような解放感と、それ以上に襲ってくる孤独感。それに必死に耐えていた智人に手を差し伸べたのが、智人が昔から好意を寄せていた年上の幼なじみの玲子だった。
「家帰りたないんやったらうちおいでや。はるちゃんには黙っといたるから」
そう言って笑ってくれた玲子の腕の中で泣き、晴人に対する思いをぶちまけた。散々悪態をつき、声が枯れるまで泣いた智人に玲子は言った。
「うちは、ともちゃんの方が好きやな。ともちゃんの方が頑張ってるって感じするやん」
その言葉で、智人がどれだけ救われたか。その日から、智人は言われた通りに玲子の家に泊まった。
数日後、家に戻った智人に呆れた両親と姉は何も言わず、怒っていたのは兄だけだった。そんな兄に食ってかかってくれたのが玲子で。自分を背に置き、玲子は必死に晴人に抗議してくれた。
「はるちゃんは自分は何でもわかってると思っとるやろ」
「そんなこと思ってへんわ!」
「いいや!思っとる!せやからともちゃんを怒れるんや!」
「悪いんは智や!どんだけ心配かけたと思ってんねん!」
キャンキャンと言い争う二人を前に、智人はただただ涙を堪えて両親に頭を下げることしか出来なかった。
何とか両親の許しを得て家に戻った智人は、それからまた学校へ通い始めた。
悪い噂を消すことは出来ないし、教師からの信頼の回復も難しかったけれど、親友の悠真だけはいつもと変わらぬ態度で接してくれて。連絡をしてこなくなった理由も「独りになりたいんちゃうかと思って…」と、自分を思ってのことだったと知り、有難さに涙が出た。
成績は、変わらず上の中。
けれど、それを気にすることはなくなった。一度全てをふっ切り身軽になった智人は、兄がやったこともないようなことを懸命に探し、そしてギターに出会った。これだ!と、すぐさまそれにのめり込んだ。
それを喜んで応援してくれる玲子と、「一緒にやらせろ!」と共に歩んでくれる悠真。全てが順調に進むはずだった。

