「起きたんか」
「んー」
「メシまだやからもうちょっと寝とけ」
「ともとー…はるは?」
「晴人は仕事や。パパは今帰ってきよる。悠真と姉ちゃんは家帰った」
「んー…」
「んーって、わかったんかい」
擦り寄る千彩の頭を撫でながらクスクスと笑う智人は、吉村の印象の中の人物とはまるで別人のようで。そんな幼い妹をあやすような姿に目を見開いて驚いていると、智人の膝を枕にして転がった千彩とバチリと視線が合った。
「あ…おにーさま、おかえりー」
「おぉ、ただいま」
まだ眠いのかしきりに目を擦る千彩の手を掴み、智人はポンッと膝を一度上下させた。
「ちゃんと起きて挨拶せんか。んで、目を擦るな」
「はーい」
言われた通りに起き上がって「おかえりー」と笑う千彩もまた、自分の知っている千彩とは別人のようで。
どうして…と出かけた言葉を呑み込み、苦虫を噛み潰したような表情をする吉村に、智人がふぅっと大きく息を吐いて声を掛けた。
「薬の影響です。いらんこと考えんでええようにボーッとする成分が入っとるらしくて、特に寝起きはこんな状態です」
「それは…」
「様子見て薬も変えていく言うてました。今日は朝から出てたんで帰ってから病院連れて行こう思ってたんですけど、こいつが寝てしもたんで。明日の朝連れて行ってきます」
「病院もトモさんが?」
「はい。俺、今フリーターなんで」
取り敢えず暫くは休むだけにしようと思っていたのだけれど、どうしても千彩の様子が気になってしまい、バイト先に「辞める」と伝えてしまった。これでバンド活動に専念出来ると思ってしまった自分に、智人自身が一番驚いていた。
「母さん、ちょっと千彩見てて」
「はいはい。ちーちゃん、パパまだ帰ってこないから、ママとお布団でお話しよか」
「…うん」
コクリと頷いた千彩は、素直に手を引かれて和室へと戻って行く。それに少しの寂しさを感じて視線で追い、吉村は改めて智人に向き合った。
「んー」
「メシまだやからもうちょっと寝とけ」
「ともとー…はるは?」
「晴人は仕事や。パパは今帰ってきよる。悠真と姉ちゃんは家帰った」
「んー…」
「んーって、わかったんかい」
擦り寄る千彩の頭を撫でながらクスクスと笑う智人は、吉村の印象の中の人物とはまるで別人のようで。そんな幼い妹をあやすような姿に目を見開いて驚いていると、智人の膝を枕にして転がった千彩とバチリと視線が合った。
「あ…おにーさま、おかえりー」
「おぉ、ただいま」
まだ眠いのかしきりに目を擦る千彩の手を掴み、智人はポンッと膝を一度上下させた。
「ちゃんと起きて挨拶せんか。んで、目を擦るな」
「はーい」
言われた通りに起き上がって「おかえりー」と笑う千彩もまた、自分の知っている千彩とは別人のようで。
どうして…と出かけた言葉を呑み込み、苦虫を噛み潰したような表情をする吉村に、智人がふぅっと大きく息を吐いて声を掛けた。
「薬の影響です。いらんこと考えんでええようにボーッとする成分が入っとるらしくて、特に寝起きはこんな状態です」
「それは…」
「様子見て薬も変えていく言うてました。今日は朝から出てたんで帰ってから病院連れて行こう思ってたんですけど、こいつが寝てしもたんで。明日の朝連れて行ってきます」
「病院もトモさんが?」
「はい。俺、今フリーターなんで」
取り敢えず暫くは休むだけにしようと思っていたのだけれど、どうしても千彩の様子が気になってしまい、バイト先に「辞める」と伝えてしまった。これでバンド活動に専念出来ると思ってしまった自分に、智人自身が一番驚いていた。
「母さん、ちょっと千彩見てて」
「はいはい。ちーちゃん、パパまだ帰ってこないから、ママとお布団でお話しよか」
「…うん」
コクリと頷いた千彩は、素直に手を引かれて和室へと戻って行く。それに少しの寂しさを感じて視線で追い、吉村は改めて智人に向き合った。

