「いいよね、男の友情って」
「メーシーにもおるやろ?そうゆう友達」
「んー、どうだろ。熱い友情っての?そうゆうのは無いかな。昔っからこの通り冷めてたから」
「そういや、マリちゃんとも元々友達なんやんな?マリちゃんどんなんやったん?」
「麻理子?彼女は、知り合った頃からずーっと女王様だよ」
クスクスと笑いながら言って、ふと気付く。そう言えば、その女王様の姿が見えない…と。
「そういや…」
「居ないよね、さっきから。まさか…」
ピタリと手を止め、二人は顔を見合せて息を呑む。女王様を地で行くマリが、気を利かせるとは思えない。二人の意見は、言わずとも同じだった。
「嫌な予感がする。ちょっと様子見に行こうか」
「…せやな」
まさか、まさか…とは思うけれど。と、二人共奇跡を願う。けれど、そんな奇跡を足蹴にし、尚且つグリグリと踏み付けてしまうのがマリだ。
そっと扉を開くと、そこには腰に手を当てたままじっと晴人を見下ろしているマリがいて。何とかこっちに気付いてくれ!と小声で呼びかけてみるも、背中を向けたマリが振り返ることはなかった。そして聞こえてくる、小さな声。
「アンタ…バッカじゃないの」
見下すと言うよりも呆れる。そんなマリの声に、恵介は「あちゃー」と苦笑いをした。けれど、隣のメーシーは何故だかにこにこと笑っていて。その理由を尋ねようと声を出しかけた時、しゃがみ込んだマリがそっと指先で晴人の涙を拭って笑った。
「寝ながら泣くくらいならアタシ達に話せばいいのに。バカ男」
それで漸く気付く。額に腕を当ててうたた寝をしていた晴人の頬に、涙の痕があったことに。
「そうだね。話してくれれば慰めてあげるのに」
「あら、居たの?」
「麻理子が王子に悪戯してるんじゃないかと思って、二人で止めに来たんだよ」
口元に手を遣りながらふふっと笑うメーシーは、いつになく優しげな表情をしていて。それが嬉しくなり、恵介もそっと扉を閉めてその輪に加わった。
「親友の俺にも相談無しとか…どんだけ水臭いねん、お前。俺だってちーちゃん好きなんやぞ」
「そんなの、アタシだって好きに決まってるわ」
「俺だって」
徐々に声のボリュームが上がっていく三人に、目覚めた晴人が瞼を閉じたまま小さな声で「ありがとう」と答えた。
「メーシーにもおるやろ?そうゆう友達」
「んー、どうだろ。熱い友情っての?そうゆうのは無いかな。昔っからこの通り冷めてたから」
「そういや、マリちゃんとも元々友達なんやんな?マリちゃんどんなんやったん?」
「麻理子?彼女は、知り合った頃からずーっと女王様だよ」
クスクスと笑いながら言って、ふと気付く。そう言えば、その女王様の姿が見えない…と。
「そういや…」
「居ないよね、さっきから。まさか…」
ピタリと手を止め、二人は顔を見合せて息を呑む。女王様を地で行くマリが、気を利かせるとは思えない。二人の意見は、言わずとも同じだった。
「嫌な予感がする。ちょっと様子見に行こうか」
「…せやな」
まさか、まさか…とは思うけれど。と、二人共奇跡を願う。けれど、そんな奇跡を足蹴にし、尚且つグリグリと踏み付けてしまうのがマリだ。
そっと扉を開くと、そこには腰に手を当てたままじっと晴人を見下ろしているマリがいて。何とかこっちに気付いてくれ!と小声で呼びかけてみるも、背中を向けたマリが振り返ることはなかった。そして聞こえてくる、小さな声。
「アンタ…バッカじゃないの」
見下すと言うよりも呆れる。そんなマリの声に、恵介は「あちゃー」と苦笑いをした。けれど、隣のメーシーは何故だかにこにこと笑っていて。その理由を尋ねようと声を出しかけた時、しゃがみ込んだマリがそっと指先で晴人の涙を拭って笑った。
「寝ながら泣くくらいならアタシ達に話せばいいのに。バカ男」
それで漸く気付く。額に腕を当ててうたた寝をしていた晴人の頬に、涙の痕があったことに。
「そうだね。話してくれれば慰めてあげるのに」
「あら、居たの?」
「麻理子が王子に悪戯してるんじゃないかと思って、二人で止めに来たんだよ」
口元に手を遣りながらふふっと笑うメーシーは、いつになく優しげな表情をしていて。それが嬉しくなり、恵介もそっと扉を閉めてその輪に加わった。
「親友の俺にも相談無しとか…どんだけ水臭いねん、お前。俺だってちーちゃん好きなんやぞ」
「そんなの、アタシだって好きに決まってるわ」
「俺だって」
徐々に声のボリュームが上がっていく三人に、目覚めた晴人が瞼を閉じたまま小さな声で「ありがとう」と答えた。

