お土産選びもそこそこに北の地を出発し、恵介達が事務所に辿り着いた時、晴人は応接室のソファでうたた寝をしていた。それを起こすまいとそっと扉を締め、恵介はメイクルームで片付けをしているメーシーの元へと向かった。
「どう?王子」
「呑気に寝てはるわ。こっちは心配して、文字通り飛んで帰って来たゆうのに」
「暫くそっとしといてあげよう」
「せやな」
本音を言えば、今すぐ叩き起して事情を聞きたい。けれど、それが出来るほど恵介は無情ではない。寧ろ、情には厚い方だ。
「何かあったんかな…ちーちゃんと」
「んー。弟さんと、じゃないかな」
「智人かぁ…アイツも姉ちゃんもキツいからなぁ」
学生時代三木家に入り浸っていた恵介は、晴人の姉弟や両親、ついでに姉弟の友達や幼なじみもよく知っている。
だからこそ心配で。
あの智人が、そう簡単に千彩を受け入れるはずがない。恵介にもそれはわかっていた。
「晴人の弟、多分反対してんねんよなぁ」
「そうなんだ」
カタコトとビンを片付けながら、メーシーが相槌を打つ。メーシーとて興味が無いわけではないのだけれど、じっくりと座って聞くよりも話し易いだろうと、空気の読め過ぎる彼なりの配慮だった。
「晴人の学生時代の彼女、全部毛嫌いしてな。唯一反対せんかったんは、こっちまで連れてきた幼なじみの子だけやったわ」
「へぇ。何か想像つかないよね、弟に振り回される王子」
「そんな頃もあったんやで。俺も弟おるんやけど、あっこまで仲良くなかったわ。羨ましかったなー。せやから俺、今の晴人結構好きやねん。学生時代に戻ったみたいやから」
「ケイ坊はどんな王子だって好きだろ?」
「そりゃまぁ…あいつは俺の親友やから」
この年になってそんな言葉を並べるのも何だか照れくさい。くしゃくしゃと頭を掻きながら照れ笑いする恵介に、メーシーは笑った。
「どう?王子」
「呑気に寝てはるわ。こっちは心配して、文字通り飛んで帰って来たゆうのに」
「暫くそっとしといてあげよう」
「せやな」
本音を言えば、今すぐ叩き起して事情を聞きたい。けれど、それが出来るほど恵介は無情ではない。寧ろ、情には厚い方だ。
「何かあったんかな…ちーちゃんと」
「んー。弟さんと、じゃないかな」
「智人かぁ…アイツも姉ちゃんもキツいからなぁ」
学生時代三木家に入り浸っていた恵介は、晴人の姉弟や両親、ついでに姉弟の友達や幼なじみもよく知っている。
だからこそ心配で。
あの智人が、そう簡単に千彩を受け入れるはずがない。恵介にもそれはわかっていた。
「晴人の弟、多分反対してんねんよなぁ」
「そうなんだ」
カタコトとビンを片付けながら、メーシーが相槌を打つ。メーシーとて興味が無いわけではないのだけれど、じっくりと座って聞くよりも話し易いだろうと、空気の読め過ぎる彼なりの配慮だった。
「晴人の学生時代の彼女、全部毛嫌いしてな。唯一反対せんかったんは、こっちまで連れてきた幼なじみの子だけやったわ」
「へぇ。何か想像つかないよね、弟に振り回される王子」
「そんな頃もあったんやで。俺も弟おるんやけど、あっこまで仲良くなかったわ。羨ましかったなー。せやから俺、今の晴人結構好きやねん。学生時代に戻ったみたいやから」
「ケイ坊はどんな王子だって好きだろ?」
「そりゃまぁ…あいつは俺の親友やから」
この年になってそんな言葉を並べるのも何だか照れくさい。くしゃくしゃと頭を掻きながら照れ笑いする恵介に、メーシーは笑った。

