数時間の新幹線の旅を終え品川駅に到着した晴人は、まだ陽の高い空を見上げて大きく息を吐き出した。
「帰ろっかな…あっち」
立ち並ぶ高いビルも、人混みも、空気の悪さも、全て慣れたはずだった。
地元では、オフィス街や繁華街に行かない限り高層ビルが立ち並ぶことはない。混雑するのは休日のショッピングモールくらいで、空気も悪くはない。繁華街からはかなり離れた場所にあるため、穏やかな町並みが広がる住み良い町だった。
「俺、何でこっち来たんやっけ。高校出て、恵介と専門行って、服飾の仕事しようと思ってたのにな…」
服飾関係の職に就くつもりで上京し、運良く二人揃ってJAGに入社した。
入社して暫くは、勿論サポート。荷物運びをしたり、衣装集めに同行したりと、今では考えられないくらいの雑用をこなしていた。そんな日々の中、たまたま可愛がってくれたフォトアーティストの人から譲り受けたカメラで恋人を撮影し、それ以来カメラにのめり込んでしまった。
それが晴人が、フォトアーティストを目指すきっかけだった。
「あいつ…元気にしてんのかな」
その頃の晴人は、今では考えられないくらい一途に恋人と向き合っていて。思えばカメラにのめり込んでからだ。と、過去を振り返れば息の詰まるような恋心を思い出す。
「あーあ。もうっ…」
ビルの合間から見える秋空が、やけに澄んで見えて。泣きたいのだか笑いたいのだかわからない複雑な感情に、晴人はただただ苦笑いをするしかなかった。
「帰ろっかな…あっち」
立ち並ぶ高いビルも、人混みも、空気の悪さも、全て慣れたはずだった。
地元では、オフィス街や繁華街に行かない限り高層ビルが立ち並ぶことはない。混雑するのは休日のショッピングモールくらいで、空気も悪くはない。繁華街からはかなり離れた場所にあるため、穏やかな町並みが広がる住み良い町だった。
「俺、何でこっち来たんやっけ。高校出て、恵介と専門行って、服飾の仕事しようと思ってたのにな…」
服飾関係の職に就くつもりで上京し、運良く二人揃ってJAGに入社した。
入社して暫くは、勿論サポート。荷物運びをしたり、衣装集めに同行したりと、今では考えられないくらいの雑用をこなしていた。そんな日々の中、たまたま可愛がってくれたフォトアーティストの人から譲り受けたカメラで恋人を撮影し、それ以来カメラにのめり込んでしまった。
それが晴人が、フォトアーティストを目指すきっかけだった。
「あいつ…元気にしてんのかな」
その頃の晴人は、今では考えられないくらい一途に恋人と向き合っていて。思えばカメラにのめり込んでからだ。と、過去を振り返れば息の詰まるような恋心を思い出す。
「あーあ。もうっ…」
ビルの合間から見える秋空が、やけに澄んで見えて。泣きたいのだか笑いたいのだかわからない複雑な感情に、晴人はただただ苦笑いをするしかなかった。

