Secret Lover's Night 【連載版】

数十分もしないうちに駆け付けた友人は、ぬいぐるみを抱えて智人に甘える少女を見てきょとんとした表情で首を傾げた。

「悠真、驚くなよ」
「は?おぉ」
「これ、お兄の彼女や」
「ふぅん。晴人にーちゃんの…彼女ぉ!?」

やはりそうなるよな…と、智人は苦笑いを零すしかない。

この「悠真」という友人は、晴人に憧れ、服装や髪形、進学する学校まで真似てしまうような人物なのだ。さすがにこれはキツかったか…と、目を大きく見開いて固まってしまっている悠真の肩をポンッと叩き、取り敢えずソファに腰を下ろさせた。

「ともと、誰?」
「俺の友達。悠真」
「ゆーま?ともとのお友達?」
「そー」

智人の膝を枕に仰向けになった千彩が、キラキラと目を輝かせた。これはまた何か企んでいるな。と、抱えていたぬいぐるみを奪い取りむにっと顔に押し付ける。

「俺は悠真と部屋行くから、お前はええ子にしてること」
「ちさは?」
「プリンと遊んどけ」

千彩の頭の下から膝を抜き取り、智人は固まったままの悠真の腕を引いてリビングを出た。

任されたものの、どう扱って良いのかわからない。そんな智人の後ろ姿を見つめながら、千彩はギュッと柔らかな友達を抱き締めた。