「緋色ーがんばってー!」
今日は女子もグラウンドを使うらしく、俺に向かって可愛らしい声が飛んできた。
我が愛しの彼女、若。
この高校の無駄に広いグラウンドでは、サッカーをやったとしてもまだまだ余裕があり他の競技も普通にできる。
だからグラウンドに何クラスかが体育の授業をやっていることも少なくない。
だが、俺が気にしているのはそこではない。
そう、彼女である若だ。
今もなお突き刺さる視線に、どんな台詞が飛んでくるのか、それとも後でなにか言われるのか、気になってしかたない。
この状態ではサッカーどころの話ではない。
「ちょ…若!行くよ」
若の友達……柳瀬だろうか。
柳瀬が面倒くさそうな顔できっと声をかけているんだろう。
「ちょっと待ってよやーちゃん!」
「あんたがもたもたしてるからでしょ」
「だってぇ…」
若の軽いわがまま。
俺にとっては可愛くて仕方ないんだが。

