胸が痛い。

こんな、たったこんなけの言葉を言うだけで胸が痛い。


“チクリ”本当に針にさされたかの様な傷みが、どんどん大きくなって俺の心臓を襲う。


自分で思ってたよりも……もっと重症だったのか?

バカだな……俺。


美鶴に言って、自分にケリをつけ様としたのに、心菜本人に言って、ケリをつけなきゃなんねーなんて。





「婚約解消……って本気?」


哀しげな瞳をしてるのは……俺に申し訳ないって思ってるの?

だったら……気にするなよ?
俺は……俺は平気だから。


「……はい。柏原もいい気分じゃないですよね? 好きな人が婚約なんてしてたら?」

「……そだね」


好きな人……

認めるんだ……


認められるのって……こんな辛いのかよ。



「時期は、心菜さんに任せますよ? あんな大々的にしちゃいましたしね?」

「……うん」

「柏原にも……説明は、心菜さんからお願いします……ってもうしてますよね」

「婚約の事?」


頷く俺に


「……まだ、してない」

「それは……駄目じゃないですか」


何してんだよ? 心菜!

だから柏原が俺に……『心を貰う』とか言うんじゃねーかっ!