ラブホ街を抜け出し、駅へと向かう。


『あ……あの……壱人君。そろそろ離してくれないかな?』


恥ずかしそうに、チラチラ俺を見る。
未だ、抱きしめたまま。

傍から見れば抱き合って歩いてるバカップルだろな。

でも……


『……嫌』

『え? 何で……?!』


何で?

それは、俺が……沙耶ちゃんを好きだから。



……だな。


立ち止まって、俺の腕の中に居る沙耶ちゃんを見た。
おどおどしながら俺を見つめ返してる。


『沙耶ちゃん……1つ聞いてもいい?』

『え? あ……何?』


真っ赤な顔を見て、確信。


『俺の事、好きでしょ?』


その後の返事はなかったけど……。

ゆでタコ並に真っ赤になった沙耶ちゃんを見たら、気づかない奴は居ないな。