好きじゃない……

と言えば嘘になるだろな。



でも、心ちゃんが、真っ直ぐに川合だけを見つめる……
その姿も嫌いでは、ない。



それも事実。



初めて心ちゃんに会った時、俺の事を意図も簡単に見透かされた。



親が多忙で、いつも泣いてた、かおりを守らなきゃって思った兄としての自覚。

俺の事で心配なんてさせる時間があるなら、かおりの為にその時間を使って欲しい。


だから、真面目で優しい生徒会長。
そこまで上り詰めた自慢出来る息子としての俺。



演じる事に、不思議と苦痛はなかった。



ただ……簡単に見破った心ちゃんに驚いたんだ…。

親ですら気付かないのに。



俺も、本当はコッチが本物で……。
俺が隠した自分が偽者なんじゃないかって……。



俺ですら解らなくなってたのに……。



心ちゃんと居る時の俺は、楽なんだよな。



俺じゃなく川合を見つめる、その瞳が俺を見てくれればな……と思ったりもするけどさ?



心ちゃんには、川合しか見えてない。
多分、これからも川合しか見ないんだろな。



だったら……意地悪位させてくれよ。



これだけ一途に想われてるのに、やっと気付いた川合なんだからさ?