それでもヤバイよね?

自分のした事の重大さに今頃気が付いた。


「心菜さん? さっきから、俺の唇ばっか見てますけど……」

「ふぇ?」


そんな事ばかり考えてた私の目線は、確かに陽呂の唇を捕らえていた。


ヤバッ!
そんな見てた?
見てたよね?

またキモイ女になってた……。


「キスしたぃんですか?」

「はぁ? 何言って??????」

「まぁ、婚約者ですし? しても、おかしくないですよね」


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?

何言っちゃってんの???

陽呂、正気?!



って!


「え?ちょッ、陽呂……?」


ちょうど、私の部屋の前に着いた時、陽呂が私にキスした。





「……んッ……ッ」


それは、さっき生徒会長としたのでも、私が中学の時にしたのでもなくて。


私の唇の隙間から、陽呂の舌が入り、閉じようとする私の唇を許さなかった。

どちらとも、わからない輝きが、口元から少し零れてた。


「……はぁ」


唇が離れた瞬間、陽呂の親指が私の口元の輝きを拭う。

その仕儀さで陽呂の顔に目をやった私は、意地悪な笑顔を見て目を逸らしてしまった。



体中の体温が顔に、集中したみたいに顔が熱くて。

暖房を入れっぱなしの部屋に長時間居たみたいな感覚だった。


ボーっとする頭に、熱い顔。
恥ずかしくて……陽呂の目を見れなかった。