呆然と立ち竦む私に突然の声。


「生徒会長と付き合ってたんですか?」

「……ッ」


振り返った先には、先に去った生徒会長の背中を見つめる陽呂。


「んな……わっ訳ないでしょ?」

「ふぅーん。そーですか……あ、帰りましょうか?」


顔色一つ変えずに、鞄を渡された。

ゴミ箱を教室に置いて、私のペースに合わせて歩く帰り道。



てか……なんで普通なのよ?


仮にも婚約者がキスしてる現場を見たんでしょ?

ちょっとは、怒ったりしてもよくない???



もしかして……婚約しても……結婚しても浮気ありな家庭になるの?



さすがに、そんなの……無理なんだけど?

あ……。



私が無理なだけで……陽呂は、無理じゃないのか。



右側に陽呂の体温を感じながら、小さく隠れて溜息をついた。



普通は婚約したら、世間一般なら幸せ真っ只中なはず。
でも婚約以来、私は溜息ばっかり。



しかも……キスなんて、陽呂と中学の時にした以来。

だから、2回目のキスが、あんな見知らぬ人だなんて……凄くショックだったりする。


中学の時のキスは、無理矢理……。

勝手に寝てる陽呂にしちゃったんだもん。

だから、ちゃんとしたキスなんてした事ない。


なのに、今日のだって……またちゃんとしてないし。


だぁぁぁぁぁーーー!

そう言えば、寝込み襲ってる……。

私ヤバくない?
変態くない??
キモくない???

はぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー。



だって陽呂の寝顔見て可愛いって思ってね?


陽呂の唇ってどんなかなー?
柔らかそー♪

なんて思ってしただけなんだよ?