【完】プリンセス

「え、だって。奈津美さんとした事……あるんでしょ?」


我慢してた涙が零れた。
慌てて手で拭う。


「はぁ? ないし」



え?

見上げた陽呂は笑ってた。



「本当に?」

「本当に」

「でも……奈津美さん……言ってたよ?」

「どっち信じるの?」


涙の跡を消す様に、指で拭いてくれた。

頬を軽く抓り、


「そこ黙るとこじゃなくね?
多分、昔、奈津美さんの告白振ったから、こんな事したんじゃない?」

「え? 振ったの?」


驚いて、顔を陽呂に向けると離れてしまった抓られてた頬の指。


「だって、俺は心菜のもんだしね?」



悪戯な陽呂の笑顔に、また傷が痛む。
赤くなった顔を見られたくなくて俯いた。


抓られてた部分が熱いよ……。