【完】プリンセス

「あ、やっぱりひーくんもしたいんだ」


勝った。かの様な表情。
一瞬、私を見て微笑んだ。



陽呂……奈津美さんと?

さっき、私は陽呂のものだって言ってくれたのに。



私、ここに居ちゃいけない?
陽呂と、奈津美さんのそんな姿なんて……見たくないよ。

もう今にも溢れそうな涙。
唇を強く噛んだ。


「いいよ? してあげる」

「え?」


赤くなった顔で、陽呂の首に回そうとする手。

見たくない。
見たくないのに…動けないの。


涙でぼやけてるのが……救いだよ。


「ま、俺は絶対やんないけどね?
俺がやんのは心菜とだけだから」

「は……?」



え?



「あんたみたいな香水のキツイ女とやる気しねーし。てか、出来ないね」

「なっ何よっ!」


声を荒げ、陽呂に食って掛かる。
それでも冷静に、ユックリと教えるかのように話す陽呂。


「だから、どいてくんない?
俺、心菜抱きしめたいんだけど?」


陽呂の上から下り、その場にあった荷物を慌てて拾ってる。

私を睨んで……部屋から出て行った。