【完】プリンセス


「陽呂から離れて」



かっこ悪くても、目合わなくても知らない。
どーでもいい。


陽呂を取らないでっ!



「えー嫌っていったら?」


この女……。


「どけってのが聞こえないの?」

「うわーお嬢様の口とは思えない……」


笑って、私を馬鹿にしてるの?

そうよ?
私は馬鹿よ?

つまらない意地ばっかり張っちゃう馬鹿よ?!


でも、好きな人を見す見す渡す馬鹿じゃない。
最後の最後まで抵抗するんだから。

だって、私の想いは一生物なのよ?



「うっさいわよ。好きな人が押し倒されてんのに気取ってられる訳ないでしょ?」

「好きなのは貴女だけかもよ?」


笑いながら言う奈津美さん。


でも負けない。
負けたくない。


そんな奈津美さんを睨んで


「陽呂は私のなの。あんたなんかにあげないっ!」

「あはは……ひーくんは物じゃないわよ?」


目に溜まる涙は、悔しいから。
陽呂が、私を一度も見てくれないから。

だけど、我慢するの!
この涙は、陽呂と目が合うまで流さない。
絶対……流さない。


「私のものなの! それに陽呂も何よ?
簡単に押し倒されて……私がしないからって……なら、私を押し倒せばいいじゃない!」