【完】プリンセス

慌てて温泉から飛び出した。

急いで着替えてるのに……浴衣って着慣れないから時間がかかる。



あーもう、適当でいいっ!



変な意地張って……陽呂を取られるなんて嫌。

絶対嫌っ!




今まで片想い何年して来たと思ってるの?

久しぶりに会って、一晩で落とされたら私の想いは何だったのよ?!



今が大切なの!
今、この時間が大切なの!

今を大切にしなきゃ未来なんてないんだもん!





部屋まで走った。


温泉に入った意味なんて全くない。
汗もかいちゃったし。
浴衣も乱れちゃったし。


最悪。


でも、陽呂はあげない。
私のだもんっ!






ドアを開けた瞬間、目に入った……。



浴衣が肌蹴て倒れてる陽呂。
その陽呂を押し倒してる奈津美さん。


「え? 心菜ちゃん?」


ドアの音で私に気づいた奈津美さんと目が合った。


「いいとこだから、もう少し後で戻って来てくれない?」


私を見ない陽呂。


少し目線を変えた私が見たお酒の缶。

お酒?
陽呂に飲ませたの?!



「未成年にお酒飲ませて何してるの?」


怒りの声。
凄く声に出たと思う。

自分でもこんな声……聞いた事がない。



「あら、私が来たらひーくん先に飲んでたわよ?」



はぁ?

何してんのよ陽呂?!