「性格悪いの陽呂君?」

「まぁ、そういう事ですかね?」


愛未のストレートな言葉に、にっこり笑って答える。


陽呂の性格って……。

私以外には、素じゃないっ!


私だけでしょ?敬語なの。

愛未は、私と一緒に居るから敬語なだけで、私の友達じゃなかったら普通なんでしょ?


「あれが素なんじゃないの?」

「あれでも、我慢してる方ですよ?」



ほぉー。

あれでね?

じゃあ、私は、何だってのよ!



あー!

むかつく!


なーんか、むかつく!


「行こ、愛未」


無理矢理、愛未の腕を引っ張って陽呂の横を通り過ぎた。


「いいのー? 心ちゃん?」

「何が?」


怒る私の眉間の皺を人差し指で突きながら


「もっと素直に出せばいいのにー。
陽呂君のさっきの言葉は、心ちゃんに接してるのが本当の俺だと思われてるって意味じゃないの?」

「……それが出来たら苦労してないもん」

「だなー」


私といる時の陽呂より、他の子と居る時の陽呂の方が本物じゃない。


皆……どうして気付かないんだろう?



私に操られてるとでも思ってるの?

だから、陽呂が冷たいって?

そこまで陽呂を縛りつけてなんかないわよ……。



そうだよ。

そんな事、出来たらサッサッと付き合ってるか、振られてるよ。



振られる……。



それが怖くて踏み出せない。



それに……。

本当の答えをくれるか分からない。


せっかく出した勇気を、踏み躙られたくないもん。


だから……いいの。

このままで。


こんなせこくて汚い……形でもいいの。