沙耶を廊下の隅に呼んで、詳しく事情を説明した。
擦れ違う奴等が、チラチラ見るのも気になったけど、沙耶は全く気にもしてない様子だった。


それよりも、話が終わると少し驚いて、


「陽呂君……知らなかったの?」


何度も何度も『本当に知らないの?』なんて聞いてくるくらいだ。


「だから何を?」


それを聞きに来てんじゃん?

『本当に知らなかったんだ』と言った沙耶が話しだした。


「心菜さん、嫌がらせされてるじゃない?
陽呂君のファンに」

「え?」


また驚くと『それすら知らなかったの?』と俺以上に驚いて目を丸くする。


ただ、頷くだけの俺。


こんだけ一緒に居るのに気づかねぇなんて。
てか、俺のファンって……林が言ってたやつか?
誰だよ?心菜に嫌がらせなんてしてるのはっ!


「まぁ、嫌がらせっても靴なかったりするだけなんだけどね?」


おいおい。
十分じゃん?

あまりにも沙耶が、呆気羅漢と言うからビックリした。


「それは、愛未さんが何とかしてるみたいだし?
陽呂君も大体そばに居るから、大した事ないんだけど……」


言葉に詰まり俺の顔を二度三度と見直す。

ん? 他は何だ?