……なんじゃこりゃ?!
中に入って目に飛び込んで来た……状況に絶句してしまった。
……汚っ!
どうやったら、そんなにためれるんだって食器。
包丁、おたま、箸、フライパン、鍋……
が、色んなところに転がってた。
そして、座り込んでる心菜と目が合った。
「入って来ないでって言ったのにぃー……」
泣きそうな声で、ガラスを拾おうとしたのか、手から血が出てた。
座り込んでる心菜の横にしゃがんで、心菜の指先の血を舐める。
「……ひ…陽呂っ」
「触っちゃ駄目ですよ? ガラス。俺しますから」
心菜を立たせてリビングへ移動させ、手当をした。
バンソコウを貼りながら、
「さて、何作ってたんですか?」
赤い顔をして俯いて喋ろうとしない。
これは……見に行った方が早いな。
キッチンへ向かおうと思って立ち上がった俺を、必死に阻止する。
「駄目!私がするっ」
「いや……水仕事すると痛いですよ? 結構深かったんで」
「う……いいの」
いつもなら料理なんて、すぐに交代するくせに、今日だけは譲らない。
何かの日だったか?
考えても思いつかない。
「手伝う位……いいでしょ?」
「駄目!向こう行って!」
ムキになる心菜に……だんだんムキになってきた俺。

