空の弁当箱を下げて教室に戻ると、林がにこにこ顔で座ってた。

そんな顔を見て思わず出た言葉。


「林……キモイ」

「えぇ? 川合……毒舌移ったのか?」


驚き、俺に『移るもんなんだー』って言う林。

移るかっちゅうの。
俺は、元々こんなんだしな。

って思ったけど……言わないでおこう。
コイツに話すと、また突拍子もない答えが来る。


「今日、愛未ちゃんに弁当貰ったんだぁー」


聞いてもないのに、話し出し始めた。


「へぇ~」


どうでも良くて、どうでもいい返事をしたら


「何だよー、おっ! 川合は、心ちゃんに貰ったの?」


なんて結構鋭いところを突かれた。

コイツ、たまに……こんなところあるんだよな。


「え……いや」


やべ……。
俺、弁当箱2つ持ってる。

答えに困る俺を見て、すげー笑顔で、


「心ちゃんも可愛いとこあるねぇー」


はぁ?

どー見ても俺、弁当箱2つ持ってんじゃん?!


「心ちゃん、お嬢様だし、そんな事してるなんてバレたら、学校の女敵に回すから、お前に弁当箱預けてまで作るなんてー♪」


は?
何だそれ?

しかも何、スラスラ長いセリフまで言っちゃってんの?