【完】プリンセス


大きなリビングに置かれた自分の荷物を確認しながらほどく陽呂。


「え? こうなったからには、楽しまないとね?」


なんて笑顔で鼻歌まじりで楽しそう。



あぁ……ママが陽呂を気に入ってる理由の1つだったんだ。

【どんな難関も楽しみに変える】

って、ただの何も考えてない奴じゃないっ!





あー……頭が痛い。





「心菜さん? 体調悪いんですか?」


ハッと気づくと、陽呂が私の顔を覗きこんでる。


「え? 悪くないわよ?!」

「そうですか? 頭抑えてたんで……すみません」


哀しそうな笑顔を残して、また荷物をドンドン部屋に運び出した。





あぁ~~~!
確かに頭抑えてた!



だけどさ?



急に陽呂の顔がアップに来たら、逃げちゃうわよ。

そんな……逃げたからって……傷ついた顔しないでよ。

わざとじゃないんだからさ?


「陽呂……大丈夫だから…ね?」


本当に可愛くない女。

謝る事も出来い。



それなのに、陽呂は笑顔で『はい』だって。

どんなけ甘いのよ、陽呂?!

そこを許すから、私が調子のるんじゃない?