慌てて上から、愛未の口を押さえた。

ジタバタして苦しそうなのなんて無視して、周りに誰か居なかったか必死に見渡す。





そう……私は、愛未の言う通り、陽呂が好き。



いつから好きだったのかも覚えてない。

でも、陽呂は、私を好きなんかじゃないんだ。




“責任感”




それだけで、私との婚約だってオッケーしてるんだし。



理由は、私の胸の傷跡。

それだけ……。



こんな誰にも気づかれるか分からない傷跡に、縛られてる陽呂。

こんな傷跡で縛っておきたい私。



こんな関係、いつまで続くとも思ってないー……。



けど……それでもそばに居て欲しい。



ただの私の我儘。