真っ赤な心菜も。

涙で化粧も落ちてる心菜も。

口も開けっぱなしな心菜も。

俺を見上げて、見つめる心菜も。



全てが愛しい。



普段の心菜じゃない……
こんな心菜を見るのガキの頃以来かもな。


あ、ガキん時は、化粧はしてねーな?
なんて自分で思っておかしくなった。





俺の胸の中で止まってた時が、動き出したのか


「そんな嘘……。だから、いらないってば!」


流れてた涙を、必死に零さない様にして俺を睨む。



えぇ?! これでも信じてくんねーの?


じゃあ、何て言えばいいの?

何て言えば信じてくれんの?





「じゃあ、どうすればいいですか?」

「どーもしなくてもいい。だから離して」


また、俯いて俺の目を見ない。



んと……どんなけ頑固な訳?

俺、ちゃんと気持ち言ったんだけど?


これじゃあ、さっきの俺を怒る資格なくね?





「心菜さん?」

「いーから。もう、いいから離してってばっ!」





俺あんま気、長くないかも?





「だから、どーすれば信じんのって聞いてんだろ?」


あ……。

敬語……じゃねーし。

俺……元々、護衛向きじゃなかったみたい。