そのまま、客の前では、笑顔で交わし(ここらへんは、慣れてるからな)



心菜と必要最低限以外の言葉は、交わさなかった。

でも……少し足を引きずる心菜を、部屋まで送った。


「じゃあ、おやすみなさい」


これが、いつも通り。
そして、自分の家に戻る。

だけど、今日は違ったんだ。


「あ!陽呂……」


珍しく俺を引き止めた。


「……はい?」


んだよ……。


さっきの手をはらわれたのを根にもってたのかもしれない。

素っ気無く返事をした。


「今日は……ありがと……色々と」


心菜が俺にお礼???

明日は、雨か???


明るく光を放つ部屋の電気をバックに立つ心菜。

俺は、薄暗い廊下。



心菜の顔が影になって。
表情が見えねー……。


でも、心菜の事だから……。
絶対、少しムスッとした顔で……。



でも少し赤くして言ってんだろな。