さっき仲谷さんにもらったメモに、
304号室と書かれてあった。



古錆びた階段を一段一段上がって行く。




重なり合う二つの足音。



そして、


304号室のドアの前に。




「・・・ッ」



緊張、不安、色んな感情が入り混じる。


そしてインターホンを押すのを躊躇う。


躊躇した俺の手に重なったもう一つの小さな手。




「高森・・・」



「いそがなくてもいいよ」

「私はいつまででも待つから」



その言葉に励まされ、思い切ってインターホンを押した。





すると、


「はーい」




中から女の人の声がした。






─カチャン─



ドアがゆっくり開く。