「高森」



優しく私の名前を呼ぶ声。

顔を見なくたって誰か分かる。




「春瀬君」



「行くぞ」



「・・・うん!」




そして私達は施設を出て春瀬君のお母さんの家を目指す。




近くのバス停を乗っても片道40分以上の道のり。


それからバスを降り、そこから徒歩10分程歩く。



するとそこには新しいとは言い難いアパートが待ち構えていた。




「ここ・・・だよな?」



春瀬君とそのアパートを高々と見上げた。



「私が、ついてるよ・・・」



こんな言葉で支えになるかなんて分かんないけど、

伝えたかった。




春瀬君は一人じゃない、と。