中に入ると春瀬君は慣れた様に受付の人と話す。



「仲谷さんいますか?」



春瀬君は受付の人に"仲谷"という人
を呼び出して欲しいと言っている。



「少々お待ち下さい」



受付の人は連絡用の受話器を手に取り、誰かと話している。



そして話し終えると私達に近寄り、


「それではあちらのロビーでお待ち下さい」


「はい」



春瀬君は淡々とその人と話し、終える。



「じゃ、座っとくか」



ロビーにあるベンチを指差して春瀬君は私に笑顔を向けた。




「・・・うん」




ロビーでは度々私達と同じ歳くらいの子が通る。


それは女の子も男の子も混じ混じ。





春瀬君が『大丈夫』て言ったから大丈夫。

でも、この人達とお兄ちゃんを殺した人と重ねてしまう。




「・・・ッ」




しだいに、足がガクガクと震えだした。