「中道……。」



「…似合ってるよ、マジで。」



ああ…、


それってまた…、私の背中を押してくれてるの?



ならなんで……



そんな顔するの?


つまんなそうに、
ニコリとも笑わずに……。




ねえ、笑ってよ。
いつもみたく意地悪な笑顔を見せてよ。



でなきゃいつまでも……



踏み出せないじゃい。




「あ~あ、大切な妹が何でアンタなんかと…。」



「…そりゃこっちのセリフだ。あんないい男が何でお前と…。」




結局私達はこうやって…


ちっちゃな言い争いを繰り返す。




いつも背中合わせで…、


けれど振り返えればすぐそこにいる存在。



大切な……




「…友達?…ねえ、うちらってさ、何なんだろうね!友達っていうか…、ライバルっていうか……。」




大切な……
『トモダチ』。



「…知らねーよ!俺が聞きたいくらいだ。」




「マブダチ?いやいや…、言ってるそばから鳥肌たった。」



「…お前…、やっぱムカつく。」



「…あははっ、そりゃどうも。」



「…でも…、大切だと思ってたよ。まだ知り合ったばっかだし、付き合いも浅いけど…。ずっと一緒にいた気がする。やっぱ三つ子だったのかな…。」



「なら、結のことも大切にできる。」



「………それが、答え?」



また……



確認する。


私を…試す。



「答え?そんなの…、わかんないよ。でも……結の幸せは私の幸せ。だから、間違ってなんかいない。」



「………。そっか。」





そうして中道は……




ニコリと笑った。



いつもの嫌味な笑いじゃない。



最高に、優しくて…
眩しいくらいの笑顔を。



「…しかしなあ…、俺は…アレだ。どうやらお前が泣くのは好きじゃないらしい。だから…、もう泣くな。」



「…泣いてないよ。」



「嘘つけっ。」



「…もうアンタの前では絶っっ対泣かない。」




「……言い切ったな。」



「言い切ったよ。」



「なら…、コレ、お前にやる。」



「…え?」



中道は制服のポケットから何やら取り出すと……


拳を握り、私の前に腕を伸ばす。




「………?」




私の両手に…


チャリンっと音を立てて、何かが落ちる。




「……これ……。」