「……あーあ、席替えかあ…。」



「なに、お前も嫌だったの?言えばいーじゃん、学級委員。いい子ぶりやがって。」



「…学級委員だからこそ、従順なんです。」



「あっそ。」



「でも…、今の席良かったんだよね。」



「……。俺のすぐ近くだから?」



「バッカ。アンタの背中とおさらばするなら清々するわ。」



「…あっそ。」



「今の席ってさ、どっちかっていうと後ろの方でしょ?ここだと黒板の字が見えるギリギリラインだから…、都合良かったんだ。」



「……?お前、コンタクト?」



中道は手を止めて、じっと私の目を見つめた。



「…………。」



あまりにも直視するから……


思わず私はフリーズした。




「なに見つめ合ってんの、お二人さん!」



…しまった!


男子に冷やかされて、ようやく我に返る。



「…裸眼だよ。コンタクトしたくないから…、後ろ過ぎても困るし、かと言って前は絶対やだし。」



「なる程。寝れなくなるしな。」



慌てふためく私をよそに…
中道はしれっとしたまま答えた。



「どうせ作ってんの俺らだし…、この際、その特権で細工しちゃう?初めからクジ二つ抜いて、今の席とっておくっつーのどう?」



「…なんで二つ?」



「だって俺も今の席がいーもん。」



「…ふ~ん。」



……そうなんだ…。
でも…、何で?


「…でも…、別にどうってことないんだけどね。後ろすぎたら覚悟決めてコンタクトにするっきゃない。」



「…つまんねー奴だな。真面目か?」



「ええ。学級委員ですから。」



「ぶっ…、柄にもねえな。」



「…うっさいバカ。」




でも…、


でもね、中道。



もしこのままだったら……


あんたはこうして私に構ってくるでしょう?



離れたらきっと、そうはいかない。


今までみたいに近くでアンタの背中を見ることも……


話することも、できなくなるかもしれないじゃない?




それってなんか……



つまんない。