落合はよく彼女の元へと訪れ…二人で談笑していた。
俺はその斜め前で、他の連中らと馬鹿な話ばかり。
…が、奴らも大して変わりばえしない。
「昨日のナイター燃えたぁ…!まさに投手戦っ。9回裏に阿部(慎之助)がサヨナラアーチ打って……」
………は?
巨人戦の話?
「……木村さん(木村沙織)みたいに速いアタック打つには……」
………。
こっちはバレーボール?
話……、噛み合ってないし。
つい、ふきだしてしまうと……
「中道くん。今ウチらの話聞いて笑ったでしょ。」
鋭い指摘をしてきたのは…
上原柚だった。
話し掛けられるのは…
初めてだ。
「…ごめん、バレてた?だって話噛み合ってねーし、女子の会話じゃないみたいでおかしーんだもん。我が道行き過ぎじゃん?」
「……?そう?基本いつもこんな感じなんだけど…。」
何故笑われているのかわからないって顔つきで…奴は首を捻った。
「私ちょっとトイレ~。」
タイミング良く、落合は席を立ち上がり……
俺らを残して、さっさと教室を出て行ってしまった。
後ろに振り返ってしまった手前……。ここでイキナリ前を向くのも不自然か。
何か話題………。
「上原って…足速いんだな。」
「……?あれ?何で知ってるの?」
意外だったのか…、キョトンとした顔をする。
「この前、部活してるとこ見た。」
「そうなんだ?でも…、まだまだ。もっと練習しないと。」
「………。」
朝練までしてたのに。どれだけストイックなんだ。
「そっちこそ、体力テストん時すごかったじゃん。足も速いでしょ?あの日から女子のみんなキャーキャーすごいよ?」
「………。アンタも女子だけど…?」
「あ、そっか。」
「…………。」
つまり自分はそれには該当していない訳だ?
落合もそうだけど……。
ここまでサバけてると、逆に気を遣わなくて楽かも。


