部員達は…見知った顔ばかり。
「ねえ、りっちゃん。里中くんてどの人~?」
小さいのが呼んだある名前に。
つい、身体がピクリと反応する…。
「里中…?ああ、それなら……アレ。」
デカい女…、「落合」が指さす方向に……、一際背の高い、目立った男がいた。
「へぇ…、彼も格好いいね!」
こいつ、里中狙いか…?
まあ、ルックスだけ言えば…似合う気もする。
「…あ。こっちに来る!」
小さいのがそう言ったのと同時に……、
俺はくるりと踵を返した。
もし奴に見つかれば。
言われる言葉は…分かっている。
奴の前だけでは…、どう答えようもない。
……逃げるが勝ち、だ。
「……?中道くんもう行くの?」
彼女の甘ったるい声に、
「うん、じゃあまたね。」
顔も見ずに、社交辞令を語ると。
「うん、また!」
何故か顔を赤らめて……。
彼女は小さく手を振った。


