「………じゃあ…、先生、またっ!」
「また来いよ~!」
陸上部員みんなに見送られて…
私は学校を後にした。
「足…、パンパンっ。でも…気持ちよかったぁ…。」
ハンカチで汗を拭いながら……
再び、歩き始める。
律からの連絡は……、まだ、ない。
「……遅…。これで明日は大丈夫なの?」
もうすぐ……日が暮れる。
「帰るしかないか…。」
仕方なく進路を家の方向へと向けて……
ゆっくり…
ゆっくりと……
歩みを進めて。
「…………。」
ふと……、足元を見た。
うっすらと浮かび上がる…私の影。
……と、その時……
耳に届いた、心地好い…音。
「………あ……。」
いつもの帰り道……。
いつも通る、小学校のグラウンドの…傍。
ふと見れば。
そこには……
昔のように、懸命にボールに飛び付く…少年達の姿。
「…頑張ってるなあ……。」
小さい体の、どこに…そんな根性があるのだろう。
昔の私にも…問いてみたいものだ。
「……いてて……。」
今ではちょっと運動しただけで…こんな始末。
…情けない。
あの頃……
ここにいた少年達は、もう高校生になってるんだよね…。
野球……、続けてるのかな。
この少年達のような…キラキラとした瞳で…、
甲子園を目指しているのかな…。
だとしたら……、
中道。
アンタの想いが…伝わった証拠だね。


