As Time Goes By ~僕等のかえりみち~





夜ご飯を終えて階段を登ると……




「柚~」


背後から結が呼び止めた。



「…なに~?」



「陸上の東北大会っていつだっけ。」



「……。確か6月×日だったけど…。」



「…柚も行くんだよね?」




「…ん~…、多分。」



「…場所は?」



「…んーと…、岩手だったかな。」



「……。じゃじゃ麺、わんこそば、えっと…煎餅も有名?お土産期待してるね~。」



「……?何私みたいなこと言ってんの?気が早いなあ…。」



「……。ホントはね、柚が走る姿を見たかった。応援に行きたかったんだよ。」



「……ありがと。…ごめんね?」



「謝ることなんてないよ。まだまだ次がある!」



「……ん。」






バタン……




扉を閉めて……



机へと向かう。





そこには……



さっき手にしたハサミと、



チケットと、



携帯……。





「………。」



ふと携帯を手に取る。



「…おっ。メール?」



メールが…届いていた。





【今何してる?】



「…!…中道…。」



中道からの、2度目のメール。




なによ…、

なんの用でもないのにメールよこして……。


「…………。」



【風呂入ってご飯食べた。】



…送信。



我ながらなんて色気ない返事なの。




♪~♪♪……



「…ん?返事はやっ。」




【俺今外にいるけどお前も来たら?】



「……外?」



…って、一体どこ?


【どこにいるの?】


♪~♪……



【学校。】




「…はあ?」



♪♪~♪~



【どうせ暇だろ。迎え行く。】



「……へ?」



なにそれ!
…強引過ぎ。




私は名前の羅列の中から…


【中道侑】の名前の所で、通話ボタンを押した。






「………あ、もしもし、中道っ?」



『……。何だよ。』



愛想のない声…。


「アンタねえ…、何よさっきのメール。誰が暇だって?」



『…違う?』



「…そうかもしれないけど!」



『つーか、多分もうお前ん家の近く。』



「…えっ。」



『そろそろ外出てこいよ。…じゃ。』



プッ…
プー…プー………



「…な、なんて自分勝手な!」



私はちらりと時計を見る。