As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「…みじめじゃないの?」



「…コラ。俺はお前のがよっぽど可哀相だよ。」



「…?何で?」



「…走りたいのに、まだ走れるのに…我慢しなきゃいけないから。」



「………。」



「おっと、ヤベ。俺いいこと言った?お前…、泣くなよ?」



「…泣こうか?可哀相な中道の為にも二人分。」



「…またか。勘弁してくれ。つーか、大丈夫ちゅーの、俺は。」



「…知ってるもん。」



「…お。少しは進歩したな。『最初から最後までわかんない』から…『知ってる』になった。」




だって……



仕方ないじゃん。



痛いくらいに伝わってくるんだもん。


野球への…熱い想い。



お兄さんに対する…劣等感。




「…中道ー……。」



「ん?」



「アンタの夢…、応援したくなったよ。」



「だからぁ~、俺に夢はないって。」



「…どんな形でもいい。中道が願うことが…、叶うといい。」



「……上原…?」



「なーんて、ね。じゃあ…、私こっちだから。……じゃーね!」



言ったそばから恥ずかしくなって……



私は直ぐさま駆け出した。



「…アホ!」



中道が…

それを制する。



「…走って駄目なんだろーが。」



「…え?ああ、そっか。」



「…でも…痛みあんまりないんだな。化け物なみの治りの早さ。」



「…バカっ。」



中道の頭をグーで叩く。



「…暴力女~。かわいくねーぞ。」



「…うっさい。いいよかわいくなくても。私は私らしくいたいし。……じゃ~ね!」



「…はいはい。じゃーな。」



今あいつは……


どんな顔してる?



私は今ー…



どんな顔をしてるんだろう。


…気になって気になって…


仕方なかった。