…誰が言うんだ、そんなこと。



「…全然っ!」



でも……、そっか。



アンタがあまのじゃくなのは…



私に対してだけか。


…てか、何で?



別に優しさを求めてるわけじゃあないけど……。




「つーか、それにしちゃあ帰り早くね?一瞬『結』かと思ったじゃん。」



「……え?」



今……
『結』って言った?


いつの間に…呼び捨てにしてんの。



「…悪かったね、私で。」



「…誰もそんなこと言ってない。」



中道はムスっとして……



笑うのをやめた。




「…てか…、今日は帰れって言われたから帰ってるだけ。」



私はまた歩き始め……



その後ろを、中道がついてくる。



「…で、たまたま野球してる所見えたから。それにこの小学校私の母校だし?…で、つい懐かしくなって見てただけ。」




「……ふ~ん。…何で帰れって言われたの?」



「……。そりゃあ私だって!……走りたくなるじゃん?」



「…けど怪我してるし。」



「…でも、じっとしてられなくて…」



「…走ったの?」



「ううん。ウロついてただけ!」



「……。そりゃ追い出されるわ。」



「……何で?」


私は歩みを止める。



中道も……


止まる。



「だって他の奴らからしたら邪魔じゃん?…大事な時期だし。」



「………。」



「…集中を妨げられる。そーゆー時に起きるのが『怪我』だ。」



「………そっか……。」




陸上競技は個人の戦いだけど…、だからこそ、自分との戦い。


もし私が練習している側だったら?



……うん、



邪魔だな……。




「……だろ?…納得した?」



「……うん。」




何だか最近……


コイツに言いくるめられてる気がする。



あの泣いた時だって…、



もちろん油断してたのもあるけど、


つい真に受けて……。




ああ…、



自己嫌悪。






それに…


だからこそ、あの日以来中道のこと避けてたのに……。




不条理だな…。