校舎の陰。
人気のないその場所で。
中道は、ようやく足を止める。
「……お前は……アホか!」
ふわりとのしかかる中道の胸が……
私の視界を、遮った。
「…………?!中道…、痛い……。」
奴の腕が…、私の身体をキツく抱きしめていた。
「……我慢できるだろ、こんくらい。俺のことが……好きなら。」
「…………。」
そう言われると……、
なす術がない。
「……オイ。否定……、しねーの?」
「……できません。」
「……拒否しなくて……いいのか?」
「……する必要ない。」
「…俺がしてることは、あいつとそう変わらないと思うけど…。」
「……アンタだから、怖くない。」
「………なあ……。」
「……はい?」
「………告白してみろよ。」
「……えっ……。」
「秘密にしたかったんだろ?俺らの関係。なのに何で…、公開告白してんだよ?」
「……もう……、終わりにしたかった。」
「……?なにを?」
「…秘密なんて…いらない。ちゃんと、堂々と……、アンタと一緒にいたくなった。友達のフリなんて……、できないし、したくない。」
「………。なら。…ちゃんと聞くよ?あんなシチュエーションじゃびびって本気にもできないじゃん。今なら……、二人きり。誰も聞いてない。だから……、全部言っちゃえば?俺だけがわかれば十分。……受け止めるよ、どんな言葉でも。」
「…………。この状況で……?」
抱き着かれた……ままで?
「……?好都合じゃん。顔見られなくて済むし。」
「………それも……そっか。」
私は奴の胸に顔を埋めたまま。
もう一度……
想いを伝える。
「私は……、中道が好きだよ。」
「………………。」
あれ……?
またしても、反応ナシ?!


