掌が……じわりと熱かった。
この手に掴みたいもの。
それは……!
「…………。中道、行かないで!!」
こんなに……
誰かを必死になって追ったことはあっただろうか。
足を止めずに先を歩く中道の手を……
私は、迷いなく掴みとる。
急に引き止められた中道の身体は、ぐらりと後方へとバランスを崩して…、
私の顔面に……
直撃!
「………いったぁ…。」
面食らっている中道と、
痛むハナを抑える私と。
そして……
周囲との視線とが……
各々に絡み合う。
「……おま…、なにやって…」
「……………行かないでよ。」
「………は?」
「……お願いだから。もう……、どこにも行かないで。」
「……………。」
一気に全身の力が…抜けていく。
「…なんだソレ。俺は教室に戻るだけだし、別にどっかに行こうとしてる訳じゃ……。」
「……そーじゃなくて!」
手にぎゅうっと力をこめて……。
「……どうしたらいいのか…わからなかった。自分が悪者になりたくなくて……、狡いことを考えてた。」
「……………。」
『いつか』なんて思っていたら。
きっと、大切なものを失ってしまう。
いつかやろう、
きっと大丈夫。
……そんな台詞に、保障なんてない。
今しかない。
今だから。
その時感じたことは……
ありのままの言葉で伝えるべきだったんだ。
狡くても、
卑怯でも、
例え………
悪者になったって。


