「また…、階段。」
一段飛ばしで……
階段を駆け上がる。
3年の教室を、恐る恐る覗いては…、奴の姿を探す。
「………。こっちに用があるわけ……ないか。」
今度は……
時折ジャンプを挟みながら、階段を下る。
短距離走者の自慢の脚力も……、
馴れない筋肉の使い方に…すでに悲鳴をあげていた。
「………。中道なら、看板の板をプレハブの用具室に持って行ってるけど。」
「………!」
いつの間にか…、三井くんが、私の目の前に憚った。
「…………。」
信じていいものやら……?
「あれ?中道じゃなかった?」
「……や、そうだけど……。」
「必死だね。」
「…………。」
「…嘘だと思うなら…、他の奴にも聞いてごらん?」
三井くんを取り巻くのは……、
真面目そうな、男子生徒達。
「……中道だったら、今カギ持って…プレハブに向かったけど。」
ちらちらと……
わたしと三井くんの両者を見比べながら……
その男子は、気まずそうに語る。
「…………。」
「……俺だってね、そこまで腐っちゃいないよ?」
三井くんは……
あの、優しい顔で……
フワリと笑う。
背筋が……
ゾクッとした。
「……。ありがと。」
瞬時に…、
この場に留まることは…無理だと悟った。
「…じゃ…!」
すぐさま踵を返し、絡まるような視線を振り切って……
三井くんの視界から、外れてみる。
「……プレハブは……っと。」
体育館の下のピロティー。
校舎の裏側にあたるその場所の外れに……。
その、建物はあった。


