As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「……それ…、本気で言ってる?」



「大マジ。…今すぐでも全然構わないけど…、お前が駄目なんだろ?」



「……う、うん。」



「なら、ちゃんとそれまで我慢するから。こーやって手ェ出したりもしない。……約束する。だから…、ひとつくらい、我が儘聞いてもらってもいいじゃん?」



「…………。」






何だか……、



体勢逆転。
奴の方がやっぱり一枚上手で……





恥ずかしいけれど、私が素直になれば……



奴もまた、素直に応えてくれる。



そんな心地好い雰囲気に、まだ、酔いしれたくて……。





「……わかった。」






約束を……交わす。








「………よし。」




中道は私を解放すると……




ニッと笑って見せた。





「……早く言わせてーな。」




真っ赤な夕暮れが……、



中道の頬を染めているかのようだった。






「……約束したから……、今日だけ。」




奴が、私の手を握る。




指と指が絡み合って……



そこから、熱が伝わってきた。






「……家まで……送ってく。」




「………えっ。」




「…いーじゃん、そんくらい。」




「……うん。」




「それとも……。時間があるならだけど、あいつに…会ってく?」




「……あいつって?」




「……ロドリゲス。」



「………!」



「今度はちゃんとさ、俺の女だって覚えさせないとな。」



「………。まだ、違うもん。」



「……コラ。頼むから、どんでん返しはやめろよ?不安になるようなこと、言うなよ。」




「……ごめん。」



「ただでさえ実感湧いてないっつーのに…。幸先不安じゃん?本当にホント、大丈夫なんだよな?」




念を押すように。



何度もギュッと手を握る中道に……、



「……少しくらい…、信じてよ。今、これでも凄い緊張してるんだから。」




「……わかりづらいっつーの。」




わたしも……


ギュッと握り返す。






「……なら……、行きますか。」




いつもの分かれ道で。



中道と同じ道を……



私は選ぶ。